眠
七郎次は勘兵衛の胸に抱かれて眠るのが嫌いではない。
睦みあった後だけではなく、ただ泥のように眠る時でさえもそれは同じだ。
寧ろ情を交わした後のほうがぬくもりを直接肌で感じる事が出来る分、好きなのかもしれない。
だが繋げた身体が分かたれると、その喪失感に酷く心許無い気分になる。
抱かれている最中の充足感が在れば尚更。
いっそのこと其れすら判らぬくらい意識を失うまで手酷く抱いてくれれば好いのに、と幾分恨みがましく自分を抱く相手を見上げると苦笑と共に直ぐに手が伸ばされ、情事の余韻を残す身体を抱き寄せられる。
精悍な顔を間近に、筋肉質な腕が自分を守るように包み込む。
そうして自分よりも僅かに高い体温を感じながら、傷の刻まれた胸板に耳を寄せ、鼓動を子守唄に安らかに眠る。
この無上の幸福。
お粗末!
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